樹形構想

樹の重心を決定づけるのが利き枝

利き枝は樹形構想の重要項目の一つです。利き枝の位置や大きさなどによって、樹形のバランスが変化します。
たとえば立ち上がりが左に傾いた樹に、左へ長く伸びる利き枝を配置すると、左流れをより強調することができます。その利き枝を幹の中段あたりに配置すれば、より樹の動きが高まるでしょう。
利き枝は樹の重心を決定づけるものと考えた方が分かりやすいかもしれません。あくまで感覚的なものにすぎませんが、重心をどこに持っていこうかと考えることで、今まで煮詰まっていた樹形構想が明確になってくれることもあります。
基本的に鉢の真ん中、根張りの中央を垂直に横切る線上に重心があれば、樹はしっかりと安定して見えます。重心が鉢の縁に近くなれば、安定度が低下する代わりに動きや流れが強調されます。鉢の外に重心があれば、不安定に感じる反面、樹の動きも激しく感じさせることができます。懸崖(けんがい)や半懸崖、吹き流し樹形などがその例です。

 

不等辺三角形を複雑に組み合わせる

利き枝の先端と樹芯、それに利き枝とは逆の側にある枝(受け枝ともいいます)の先端を結んだ三角形が、樹形の輪郭です。左右対称だと不自然に見えるため、不等辺三角形を基本に輪郭を考えます。また、一つの枝の中にいくつもの枝ブロックがあり、その一つ一つが同様に不等辺三角形の輪郭を持ちます。結局盆栽樹形は、不等辺三角形の集合体だということができるでしょう。
とはいえ、本当に輪郭線を直線で描いたりはしません。大ざっぱにとらえると三角形になるというだけで、実際の輪郭は複雑に出入りをつくります。逆にいくつもの枝先が直線でそろっていたら、非常に不自然で人工的に見えてしまいます。
枝の長短によって生み出される不規則な出入りのことを「はずみ」と表現することもあります。枝のはずみのない樹は静止してしまって動きが感じられません。はずみのある樹は躍動感があり、景色の大きさを持ちます。百聞は一見にしかず。よくできた盆栽を見ればそのことがよく分かるでしょう。