あ行
盆栽に使う用土の種類のひとつ。ひと粒の中に多数の孔があるため水もちが良く、しかも空気の流通が良いところから、ほとんどの盆栽で多用されている。他の用土と混合される場合にも主用土として用いられることが多い。ただし長く植え替えないでいると粒子がつぶれて保水機能が弱るので、つぶれにくい焼き赤玉土や硬質赤玉土も流通している。
盆樹の頭部、樹冠部のこと。芽ひとつを指すのではなく頭部全体を指して使うことが多い。頭をうまくまとめることができるかどうかでその人の技量をはかることができるほど、盆栽にとって重要な部分。一般に、頭が丸いほど古木感が表現できる。
灌水量を言い表す言葉。「水が甘い」とは、灌水の量が多め、つまり1日の水やりの回数が多いという意味。逆に灌水の度合いが少ない場合は水が【辛い(からい)】という。
山採り後で仮植え中のものや、畑上げものなどでまだ手を入れられていない、これから本格的に樹づくりを始めようという段階の素材のこと。
盆栽のつくり方または樹形のひとつで「筏作り」ともいう。幹が倒れそこから出た枝が幹となった多幹樹形のひとつ。元来山の中でよく見られる姿だったせいか、樹形としては根連なりより古くからあった。
→【水吸い】
樹形の一つで、石に付けて植えられたもの。石の持つ景色と質感が樹木の野趣や自然味を高めるため、創作盆栽の一ジャンルとして人気が高い。作成時には、後々の樹の生長を見越した植え付けに留意したい。大きく分けて、鉢上で石に沿わせて植えたもの、石に直接ケト土などで付けたものの2タイプがある。
根元から数えて最初にある枝を指す。一般的に盆栽の輪郭は「不等辺三角形」に整えられることが多く、この一の枝の出位置や幹の太さとの関係は、樹形全体に大きく影響を及ぼす。樹を左右に分けて「右一の枝」「左一の枝」と使うこともある。
本来は、種をまいたその年のうちに開花結実する品種のことだが、園芸・盆栽界ではやや拡大解釈して、実生・接ぎ木・挿し木後1〜2年で開花結実するものを指す。例えば「一歳○○」と表示されたものならば、普通種より早く花が咲き、実がつく。
前後左右を問わず、樹を植え付ける角度。同じ幹模様でも角度を少し変更することによってかなりのイメージチェンジが可能である。植え付け角度を変えた場合は、樹芯や枝角度などにも若干の修正が必要となる。
盆栽を鉢に植える際に用いる土。一般には用土という。基本的にゴロ土や化粧砂とは分けて考える。保水性に富み、排水性・空気の流通が良く、粒子が崩れにくいものが最適とされる。さまざまな土や砂の種類とその配合が研究されており、さらに最近はふるえばそのまま使える配合土も売られている。
樹のポイントになる枝を「利き枝」というが、その利き枝の強さとバランスをとる枝。樹全体を引き締める重要な役目をする。たいていは利き枝とは反対側に受け枝がくる。
裏枝ともいう。幹の後ろへ伸びている枝で、これを設けることにより、奥行きが生まれる。剪定・針金かけによる整姿作業の際も、できるだけ平面的な枝付きにしないよう留意したい。
鉢の表層部の土。肥料カスや汚れがつきやすく、放っておくと劣化して固まり、水通りが悪くなる。
土の表面で根張りとなっている根や、表面に近い根をいう。日光でよく暖まるので発育が早い。
→【枝付き】
枝の芯・枝の流れの中心。一つの枝の枝芯は、言うならば幹にあたるため、模様やコケ順にも気を配りたい。
役枝を配している順序。幹を下から見ていって、右・左・右……という出方が理想的な枝順の基本とされる。
ひとつの枝から出た小枝や葉をそのままひとかたまりにせず、小さなブロックに分けた集合体。こうすることを【棚割り】という。奥行きや立体感を表現でき、大木感の表現につながる他、フトコロ部への日照・通風条件も良くなる。
枝の付き方や出方。狭義には【枝順】とほぼ同じだが、模様や長さなど枝自体の持つ芸を含んだニュアンスで使われることもある。(=【枝打ち】)
→【剪定】
上向きの芽・枝を水平もしくは下向きに伏せること。樹木の芽は放っておくと陽光を求めて上に伸びるのが自然の摂理だが、針金かけや枝引きによって伏せてやることで、次の利点が得られる。
●フトコロ部の日照・通風が良くなる
●枝先の力を抑制できる
●時代感を表現できる
枝の骨格。枝芯の模様や太さを指す。
フトコロに近い芽のすぐ先まで切り戻す剪定の方法、またはそれにより次の芽を動かし、その芽を使って枝をつくっていくこと。盆栽の枝づくりでは小枝の先は細く維持したいが、何年も経つと徐々に太ってくる。そうなった際の枝先の更新にはこの追い込み剪定が欠かせない。逆に言うと、いつでも追い込めるようにフトコロの芽を保つことが、姿を維持する最大のコツである。(=【切り戻し】)