は行

はがり【葉刈り】

春に出た新芽を摘み取るのが芽摘みだが、その後に固まってきた葉を、葉柄を残して刈り取る技法。雑木盆栽、特に葉もの作りにおいて非常に重要な作業で、芽吹きの良い樹種なら、年間3〜4回可能。効率の良い小枝作りと樹勢の平均化の二つの目的がある。

はぎり【葉切り】

生長期に外周部の葉を部分的に切って小さくすること。雑木盆栽に用いる方法。基本的には日照・通風を良くする目的で、葉刈りと違って二番芽を出させずに育てる。

はこかざり【箱飾り】

棚飾りの一種で、箱型の飾り棚を使った飾り。現在では小品飾りの主流を占める。

はさみづくり【ハサミ作り】

ハサミだけ、つまり剪定だけによって小枝を作る方法。樹木の芽は上に伸びるため、枝などの骨格をつくる段階では針金で伏せ込む作業(芽押さえ)が必要となるが、枝骨ができあがり枝先づくりに入ると、やや暴れ気味に作られた小枝の方が自然味が出る。このため、針金による芽押さえを行なわず、方向の良い芽を残す剪定だけで小枝を作る方法がとられる。

はしりえだ【走り枝】

全体の輪郭に対し、極端に勢いが強く、大きく伸びた枝のこと。放置しておくとますます樹勢が偏り、枝元がゴツくなったり細い枝が枯れてしまったりするので、必要のないものは早めに切除するか、可能なものはコケ順の良い位置で立て替えを行なう。

はしりね【走り根】

土中において、他の根に比べ極端に長く伸びた根のこと。樹を鉢から抜いた時、鉢の形と同じように回っている小根の中に、一本の長く太い根が見られることがある。これが走り根である。根も枝と同じく勢いが平均化した状態が望ましい。植え替えの際に細い根に立て替えるか、取り去っておきたい。

はしょう【葉性】

盆栽において、葉の形態や色彩、生理的な働きは大きな影響をもたらすものである。このような葉の持つ性質を葉性と呼ぶ。同じ樹種でも葉性の違いによって評価が違うこともしばしばである。一般に盆栽界で良いとされる葉性の条件をあげる。
●針葉樹
葉が短い・真っすぐ・色彩が鮮明・太めのもの
●雑木
葉が小さい・光沢がある・色彩が鮮明・紅葉や黄葉が美しいなど
ちなみに盆栽界で「葉性」と言う時、厳密には「芽性」のことも含んで語られることが多い。芽性とは、芽の出方(粗いか密か、また節間が短いか長いか)や性質(二番芽が出やすいか否か、眠り芽ができやすいか、大木にならず低木に仕立てやすいか、など)のことである。「葉性が良く作りやすい」と言う時は芽性のことを指している。

はずみ【ハズミ】

盆栽の枝表現におけるリズムのようなもの。一般に盆栽の姿とは、幹筋の大きな流れに対して枝の場所や長短で変化がつき、躍動感が出てくるものである。さまざまな枝表現があるので、このハズミという概念を理解するには名樹を数多く見ることが必要である。

はたあげもの【畑上げもの】

繁殖された後畑に入れられ太らされた素材。短期間で太くなるので、太さの割には比較的安価で入手できる。ただしずっと鉢で持ち込まれたものに比べると、時代感でやや劣る。鉢に入れる際、畑土を完全に落とすことが大切。

はばり【葉張り】

言葉の意味は葉のある部分の大きさということであるが、転じて樹全体のかさ・左右のサイズを指し示す場合が多い。「葉張りを縮める」などと使われる。幹の太さや枝打ち、鉢の大きさなどから総合的に見て、理想的な葉張りサイズは決まってくる。

はなめ【花芽】

樹木の芽には、花になり後に実になるものと、葉になり後に枝になるものの両方があり、このうち花になるものを花芽と呼ぶ。実もの・花もの盆栽においては、花芽の付き方に関する樹種ごとの特性をよく知ることが大切で、徒長枝の先につくもの、比較的短くて太い枝(短枝)につくものなど様々である。従って枝の切り具合や芽の残し方に違いが出てくる。

はぬき【葉抜き】

黒松や赤松の葉を抜いて整理をすること。樹勢調節と、日照・通風促進の二つの目的がある。芽切りの補足として休眠期に行なう。弱い芽以外は古葉を全部取り、特に強い部分は新葉も取る。ミドリ摘み・芽切り・芽かきと併せて、枝作りと樹勢調節の方法として大切な作業である。ちなみに五葉松の古葉切りを同じ名前で呼ぶこともあるので、混同しないよう注意。

はねだし【ハネ出し】

根連なりや寄せ植えなどの多幹樹形で、そのうちの一本(または二本)が左か右にポツンと離れてあること、またはあるものを指す。必ずあるものではない。小さいものをハネ出しに持ってくるのが一般的で、全体の躍動感を左右する重要な部位と言える。ここから転じて、棚飾り(特に小品盆栽)などで左または右に離れて配置する一群のことも指す。こちらも全体の流れを受け止める大きな役割を持つ。

はみず【葉水】

根水の反対語で、葉に水をかけること。葉の表面温度や湿度を調節することが狙い。特に植え替え直後の根量が大幅に減った状態の時や、夏の暑い時などは、一定期間これを与えてやることによって葉からの蒸散量を抑えることができる。

はめ【葉芽】

葉になる芽のこと。一般的に花芽よりも小さい。

はやけ【葉灼け】

盛夏や初秋、葉先または枝先が枯れて褐変または黄変すること。これの起こってしまった葉は元には戻らない。大方の場合水切れが主原因。予防策としては充分な水やりを前提に、夏場の異常な蒸散を抑えるため、寒冷沙を用いた直射日光からの保護などが挙げられる。

はりがねかけ【針金かけ】

盆栽作業の中で最重要とされるものの一つで、幹や枝に針金を巻き付けて模様を入れ、姿を整えることをいう。 盆栽用としては主に茶褐色に色付けされた銅線とアルミ線が用いられ、主に休眠期に作業し、枝に針金が食い込むくらいになってきたら針金を外す。現代盆栽テクニックを代表するものなので、ここにその効用をまとめてみる。
●ハサミ作りに対して圧倒的な早さである程度の姿を作ることが可能。特に間伸びした部分に模様を入れられる効果は非常に大きい
●針金かけによって扇状に広げられた枝は日照・通風条件が良くなり、それによってフトコロ芽に力が乗る。また、針金の刺激によって植物内にエチレン(植物ホルモンの一種)が分泌され、芽吹き・伸長の具合が良くなる
針金かけの最終目的は効かせることにある。針金を外した時効いていなければ、再びかけ直してやる。

はんけんがい【半懸崖】

盆栽樹形のひとつ。懸崖の中で、鉢底より上に先端部がある樹形。

ばん【盤】・ばんこん【盤根】

雑木、特にもみじやぶな、姫しゃらなど根張りを見所とする樹種において、上根が癒着してひとかたまりになった状態を盤と言い、その根を盤根と呼ぶ。

ひこばえ【ヒコ生え】

ヤゴ芽、シュートともいう。叢性の(低木性で株立ち状で自生している)樹種で、樹の足元から不定芽が生えてくること、またはその芽。放置しておくと元の樹が弱るので普通は見付け次第切り取るが、場合によってはこれを活かして株立ちや根連なりを作ることもある。その際にも適当量に間引くことは必要である。(=【ヤゴ芽】)

ひばい【肥培】

人為的に樹に養分を補給してやること。太らせるため、また元気をつけるためなど様々な目的がある。天然土壌中には豊富な栄養分があり、自然木はこれを吸収して生育するが、鉢栽培の場合は用土中に栄養分はほぼ含まれておらず(含まれていても樹が吸収できる化学形態であるとは限らない)、樹が吸収しやすい形態の人工肥料を与える。現在では有機/無機、速効性/緩効性など様々な肥料が開発され、その形状も固体(灌水によって溶け、鉢土内に流れ込むもの)、液体(ほとんどは原液なので水で薄めて散布する)、土壌中の栄養分を樹が吸収しやすいように化学変化させる土壌活性剤など、バラエティに富む。

ふていが【不定芽】

植物の芽というのはある程度吹く場所が決まっていて、そのほとんどが葉脇の近辺であるが、それ以外の部分から出る芽を不定芽と呼んで普通の芽と区別する。と言ってもそれほど珍しいことでなく、樹種によっては幹や枝の途中から頻繁に吹く。

ふところ【フトコロ】

枝葉に隠れた盆栽の内側の総称。特に幹に近い枝元部分を指すことが多い。盆栽の理想的な形としてはここにたくさん枝岐れがほしいのだが、日照・通風条件を考えながら培養しないと、せっかくあった枝や芽も枯れてしまう。フトコロの枝のない部分に吹いた不定芽は大切に育て、しっかり力を乗せたい。

ふり【振り】

→【幹模様】

ふるはとり【古葉取り】

五葉松で、夏から秋にかけ古葉を取り除いてやる作業。常緑樹の葉は場合によっては1年ないし1年半ほどついており、こういった「昨年葉」や「一昨年葉」を総称して古葉と呼ぶ。日照・通風条件を良くするための方法のひとつである。近年では特に夏場(7月下旬〜8月上旬)の五葉松の古葉切り(ハサミで切る)が効果があるとされている。

ぶんじんぎ【文人木】

元来は文人好みの木という意味で、広義では現在の盆栽すべてを指すような大きな定義になってしまうが、一般には細幹で時代乗りが良く枝数の少ない、わび・さびの情趣のある瀟洒な作りの樹を指す。よくできた文人木は盆栽の神髄を極めたような風趣があって人気も高いが、細幹のまま長い年月持ち込む必要があり、数も少ないのが現状。樹種的には赤松や五葉松が代表的である。

ほね【骨】

立ち上がりや幹、太い枝など樹の小枝以外の部分。簡単に作れない、作り換えられない部分を指す。樹の形は一本一本異なり、それぞれの個性を持っているものだが、その個性とは概ね骨の形である。

ほんばち【本鉢】

盆栽を観賞する目的で植える鉢。対して日常の培養目的で使う鉢を培養鉢、仮鉢などと呼ぶ。一般に本鉢には高温度焼成の焼締鉢や釉薬鉢が用いられるため、鉢土内への酸素混入率が悪く、培養していく上では条件が良くない。このため通常は培養条件の良い粗めの胎土を使った培養鉢に植え込んで管理する。逆に古木の場合、樹形を暴れさせないため本鉢のまま培養することもある(鉢そのものの時代感も高める)。