盆栽事始め

日光と空気と水のある環境

植物にとって必要なのは、日光と空気と水です。自然の中で生育している植物なら自分の好みにあった環境で育っていくでしょうが、人間が鉢に取り上げたものはそうはいきません。そこで人間のほうが植物に適した環境を作ってやることになります。
基本的には日当たりと風通しの良い場所を置き場に選びます。南向きの庭や、一日中陽が当たる屋上などが理想的です。ずっとは無理でも、せめて午前中から午後の2時くらいまでは陽が当たるようにしたいものです。
水は鉢の底から流れ出るくらいまでたっぷり与えます。また毎日一回は乾き具合をチェックします。乾きが激しい場合は一日に数度の水やりをする場合もあります。
盆栽はほかの鉢物より小さめの鉢に入っていることが多く、鉢土の乾きは早くなります。また、水を切らした時に傷んでしまう可能性も高くなります。愛情を注ぐように水をかける、これが盆栽管理のはじめの一歩です。

年間管理の流れを知ろう!

春…芽吹きから新芽の生長の時期。葉数が多くなるに従ってよく乾くようになるので、状態に合わせて水をやらなければなりません。高温多湿になるとやっかいな害虫が発生してきます。実がなるものは花が咲いたら交配します。
夏…小さな鉢で元気にするためには、頻繁に水をやらなければならない場合も。強い直射日光に弱い樹種は、半日陰に取り込むこともあります。一年のうちで最も水管理に神経を使う季節です。
秋…実がなるものはこの頃に色づきはじめます。台風で鉢を飛ばされないように、置き場の固定を考えなければなりません。管理が順調にいけば美しい紅葉が鑑賞できます。
冬…休眠期に入ります。盆栽鑑賞の時期でもあります。鉢土が凍結しないように保護します。寒さに弱い樹種は屋内に取り込みます。

季節に応じた培養管理が大切

日本には恵まれた四季があり、折々の季節の変化を楽しむことができます。そのおかげで独自の盆栽文化が発達したともいえるでしょう。季節ごとに植物の表情は変わります。その時々に合わせて、培養管理の方法、いろいろな作業も、適した時期を選ばなければなりません。
たとえば春から初夏にかけては樹が生長する時期ですから、十分に陽に当て、水とともに肥料を与え、元気を付けます。真夏は人間と同じように樹も暑さで疲労するので、水管理をこまめにしながら夏バテしないよう気を配ります。秋は樹が肥大する時なので、再び肥料を与えて力を充実させ、冬越しに備えます。
こうして、季節の変化ともに一年を終え、同じようなサイクルを繰り返して年輪を刻んでいくのです。一年の大まかな流れを表にまとめてみましたので、ぜひ概要を頭に入れておいてください。

 

1月 鑑賞の時期 盆栽は主に冬の姿を鑑賞します。ですからこの季節は展示会がたくさん開かれます。よくできた樹をたくさん見て、自分の樹もよく観察し、今後の計画を立てるときです。
2月 改作作業
スタート
2月の後半から3月にかけて、太枝を曲げたりする大きな作業に適した季節となります。枝を切り込んだり、針金をかけたり、植え替えの準備をしたりします。
3月 春の植え替え
適期
春分の日あたりが植え替え適期です。古土を落として用土を新しくし、新根が伸びる余地を作ります。室内に取り込んでいたものは、後半に外へ出します。
4月 芽吹きの季節 新芽が出てきます。一気に鉢土がよく乾くようになるので水切れに注意。
5月 新芽の処理 葉が開いてきたら、勢いの強すぎる新芽の先端を切って止めたり、上に伸びる新芽を針金で伏せたりと、非常に忙しくなります。一日ごとに樹の様子が変わるので、タイミングを逃さないこと。
6月 じとじと・・・
梅雨
高温多湿になると病気や害虫が多発します。病害虫が発生してからでは治りにくいので、日頃から予防のために殺菌、殺虫剤を定期的に散布しておきます。
7月 水やりに忙殺 よく乾くので、水やりに不安ある場合は、あらかじめ砂利やトレイの上に乗せておいたり、自動灌水機を使ったりします。直射日光に弱い樹種は寒冷紗やヨシズで遮光します。
8月 夏真っ盛り 真夏日になると植物は自分を守るために一時的に休眠状態に入ります。とにかく水だけは切らさないように。それ以外の作業は控えます。
9月 秋の
植え替え適期
前半は残暑が厳しく、8月と同じように水管理に注意します。秋分の日あたりが秋の植え替え適期です。このころから松などの針金かけの適期にもなります。
10月 肥料を効かせる 充実期です。樹を太らせるとともに冬越しの体力を付けさせるため、しっかりと肥料を効かせます。色づきはじめた実を鳥に食べられないよう注意しましょう。
11月 雑木のせん定 落葉樹は紅葉し、やがて葉を落とします。落葉直後が小枝のせん定の適期です。強く伸び出して暴れた枝を切りつめ、やさしい風情を保ちます。
12月 冬期保護開始 落葉樹は冬期消毒の後、軒下や室内などに取り込みます。日によって鉢土の乾き具合に差が出るので、毎日チェックは欠かせません。