針金かけ(2)

新芽を押さえるところからスタート

枝に針金を巻くこと自体は、さしてむずかしくありません。重要なのは、何のために針金をかけるかです。それが分かっていなと、効果的な針金かけなんて期待できません。
小枝への針金かけは、まず新芽押さえからはじまります。春から夏までの生長期に、グンと伸びてくる新梢の方向を修正する作業です。新芽は太陽の光を求めて上へ伸び出ます。たとえ枝の下側から出た芽でも、やはり上向きに伸びようとします。でも、枝がすべて上を向いているようでは老木の姿が出せません。そのため、新梢の枝元を下げ、さらに上下左右に模様を入れて、盆栽らしい枝にするのです。
枝元が太くなると思ったように下げられなくなるので、まだ新梢がやわらかい生長期の内に針金をかけます。勢いの良い新梢を伏せることで、樹勢を抑制する効果も生まれます。フトコロへの日照・通風条件が良くなり、胴吹き芽が吹いたり、小さかったフトコロ芽に力を付けたりもしてくれます。
ただし、生長期は太りが早いので、かけた針金がすぐに食い込みはじめてしまいます。うっかり見逃していると、後に残るくらいの食い込み傷を付けてしまい、見苦しい枝となるので要注意。

 

針金かけの基本手順

針金かけの手順にはふたつの原則があります。

 

1.太い針金からかける
2.針金を交差させない

 

です。どちらも、針金をきちんと利かせ、かつきれいに見せるための基本です。
太い針金から先にかけるというのは、太い枝から先に針金をかけ、位置を決めてしまうというこです。後で太い枝が動いてしまうのでは、小枝の位置が決められませんから当然です。針金を交差させないというのは、交差させてしまうと針金の利きが悪くなってしまうから。ただしこれは例外の場面もあります。どちらの原則も、慣れてくるうちに特に意識することなくそうなっていくものです。
小枝を伏せるときは、扇形に広げるのが基本です。ところがなかなか、扇の骨のようにきれいな枝岐れにはなってくれません。ごちゃごちゃと小枝のかたまりがあって、それを剪定しながら針金をかけるのですが、どの小枝が不必要かを判断するのが、初心者にはひと苦労です。
剪定と針金かけはつながった作業です。剪定がきちんとできなければきれいに針金がかけられませんし、針金がかけられなければ、不要な枝を見つけ出して剪定することができません。剪定と針金かけのどちらを先に覚えればよいかというと、まず針金かけということになります。最初のうちは面倒でも、小枝を伏せたり広げたりしていると、ぶつかり合う、重なり合う部分が出てきます。その時になって初めて、どの枝を残してどの枝を切るかを判断します。そうした作業を繰り返していくと、やがて針金をかける前から、切らなければならない枝が見えてくるようになります。そうなれば針金かけの速度は格段に速くなるでしょう。
剪定よりも針金かけを優先するのは、訳もわからないうちに剪定してしまうと、残しておかなければならない大事な枝を切ってしまうという事故が起きやすいせいです。経験を積んで、一目で不要な枝が判断できるようになるまで、地道に全部の小枝に針金をかけていくこと。これが遠回りのようで、実は上達の早道なのです。