これが盆栽だ

凝縮された時の流れ

盆栽は自然をお手本にしています。でも、ただ自然を模写するのではなく、自然の良いところ・美しいところだけを取り出して、そのエッセンスを凝縮して見せます。

盆栽が他の鉢植え植物と異なるところは、存在感の大きさではないでしょうか。たとえば同じような大きさの観葉植物と盆栽を並べておいてみると、たいていの人は盆栽の方に視線を向けてしまいます。どちらも同じく自然の生き物であり、緑を感じさせる植物なのですが、盆栽のほうが凝縮されたものであるだけに、密度が高く、目を引きつけられるのです。

何が凝縮されているのか? ……これはつまり、時間でしょう。長い時の流れを自然のエッセンスとともにぎゅっと詰め込んでいるからこそ、小さな体の中に、他の植物にはない独特の存在感を備えることができるのです。

 

老木に見せるテクニック

盆栽にとって「古さ」はとても重要視されます。とはいえ、その樹が本当に何百年もの年輪を持っている必要はありません。幹を輪切りにして確認するわけでもないので、見た目の古木感だけが問題になります。古ければそれにこしたことはありませんが、実際それほど古くなくても、老木に見えさえすればいいといえます。
そこで古木に見せるための様々なテクニックや表現方法が研究されてきました。たとえば、樹の頭はとがらせるより丸くしたほうがいいだとか、下の方の枝は下がり気味にするだとか、枝元は太く枝先へいくほど枝を細くするだとかは、すべて自然の老大木を盆上に凝縮してみせるための基本テクニックです。
大地をわしづかむ力強い根張り、年輪を感じさせる立ち上がり、風雨に耐え忍んできた歴史を示す幹模様、自然に細っていくコケ順、植物の摂理にかなった枝順など、少しでも理想の姿に近づけるために、毎日繰り返し水をかけ、手入れを行なっていきます。