針金かけ(1)

●目的を決めて作業する
●弱ったところにはかけない
●最小限の範囲で確実に利かせる

針金かけは樹にずいぶん負担をかける作業です。ですからできるだけ樹を傷めないように、よく利く太さの針金を選んで、樹皮をはがさないように注意しながらかけなければなりません。
樹勢の低下している樹や、弱い枝などにはかけないのが原則。できるだけ最小限度の範囲で針金をかけるよう心がけます。上達すれば、元気の良すぎる枝や芽に針金をかけて、力を抑制するという枝もあります。
針金かけは剪定と同じくほとんど一年中できますが、最適期となると松柏類が3月、雑木類は5~6月あたりです。できるだけ作業を避けたいのは真冬の12~2月あたりでしょう。
針金をかけるのは単なる途中経過であり、目的を達成するための手段です。針金かけの向こう側には、こういう樹にしたい、ここに枝を持ってきたいなどの樹形構想があります。この構想がはっきり明確でないと、針金かけは意味をなしません。ですから作業をに入る前にじっくりと樹を眺めて、方針を決めておきます。

 

針金を「巻きつける」のではなく、針金で「の」の字を描く

初心者はとにかくきつく締めすぎたりして、樹を傷めがちです。本来、針金は巻き付けるのではなく、やさしく樹に沿わせるだけです。「紙一重の隙間をあけて巻く」というのが理想とされます。
ソフトな針金かけを実現するためには、指使いの基本をマスターしておかなければなりません。左手の指で針金を固定しながら、一回転ずつ、右手の人差し指で丸く導くようにかけていきます。上のイラストで説明している手順です。特に右手の動きは重要で、枝や幹をテコにして針金を曲げるのではなく、針金自体をらせん状に丸めていくのです。
最初は木の棒か何かで代用して練習してみましょう。両手の動きがちゃんと役目を果たしていれば、針金をかけたあとで中の棒を抵抗なく引き抜くことができます。力一杯引っ張らないと抜けなかったり、棒の表面に針金でこすった跡が付くようでは失敗です。
針金には銅線とアルミ線のふたつの種類があります。アルミ線の方が軽くてやわらかく、断面が白いので、すぐに見分けがつきます。
あらかじめ焼きなまされている銅線は、もともとアルミ線より硬い上、曲げてから時間が経つとさらに硬くなる性質があります。そのためアルミ線より細い銅線で同じ枝を曲げることができ、針金が目立ちにくくなります。ただし銅が腐食して出る緑青(ろくしょう)が雑木の肌を傷めてしまうのと、硬いためにかける際にこじって幹肌をはがしやすい、細いので食い込みやすいなどの欠点があります。初心のうちはアルミ線を選んだほうが安全でしょう。