ま行

みきはだ【幹肌】

幹の表面、皮のこと。盆栽の大きな要素として、古さ、時代感が挙げられるが、これを如実に表すものが幹肌である。荒れた幹肌は古色を演出し、気品を生み出す。小さい鉢で、いわゆる「締めて」作られたものは幹肌への時代の乗りも早く、見どころに富む。

みきもよう【幹模様】

幹が描く曲線のこと。直幹樹形以外のほとんどの場合、大なり小なり模様があり、これが樹形の基礎となる。下部は大きく、上に行くに従って小さくなるのが理想的とされる。ただ、現在名木と言われるものにはその限りでないものも多く、基本から外れたところに野趣が感じられたりする。(=【振り】)

みしょう【実生】

繁殖法のひとつで、種を蒔いて素材を作ること。手間のかからない繁殖法で、ゼロから盆栽としてしつけることができ、また根張りがよくできるという利点もあるが、一方では実生変化のため性質が安定しないという傾向もある。

みずぎれ【水切れ】

鉢土内の水が不足すること。雑木類では、ごく軽い水切れでも葉先が萎れたり葉枯れのような症状を見せるので分かりやすいが、松柏類は判別が難しい。もちろん長期にわたると致命傷になることもある。

みずすい【水吸い】

真柏・杜松・一位などジンやシャリを持つ樹種の本来の幹の部分。ジン・シャリは樹の枯死した部分だが、これに対して水を吸い上げている部分を指す。(=【生き道】)

みずぬけ【水抜け】

水はけのこと。鉢または鉢土内から余分な水が抜ける度合い。毎回の水やりの際、直後の鉢土は水分をたっぷり含んでいる。この水分を適度に保ち、次回の水やりの時までに樹のゆっくりした吸い上げを促すのが理想的な鉢土の状態である。

みずやり【水やり】

植物を育てる上で最も重要な要素は水である。ことに盆栽は鉢という限られたスペースで生き続け、剪定や整姿にも耐えて観賞段階へと到達できる。言葉では単に盆栽に水をやることを指すのだが、その難しさは「水やり三年」という言葉があるほどで、また実際には三年では覚えきれないほど奥が深い。気候風土やその年ごとの温度変化、環境の違い、樹種特性、樹勢状態、用土の違い、鉢の大小や深浅とさまざまな要素があり、完全なマニュアルはこの世にはない。基本的な考え方として、樹が水を欲した時に与えるのが理想。また、水やりとは水分を補給するだけでなく、空気をも補給するものであることを忘れてはならない。(=【灌水】)

みどりつみ【ミドリ摘み】

ミドリとはまだ葉の開いてこない新芽のこと。春先にこのミドリを摘んで樹勢バランスを調整してやることをミドリ摘みという。一般的には黒松・赤松や五葉松に対して行なう作業。

むろ【ムロ】

盆樹の冬場の保護をするための保護設備の総称。ちなみに寒さのピークの前に樹をここに取り込むことをムロ入れと呼び、春先にここから出すことをムロ出しと呼ぶ。プレハブでもビニールハウスでも何でもよく、寒風、積雪、霜、鉢の凍て割れなどから守れる閉め切った密室があればよい。基本的には無加温が望ましく、また日中に換気しやすいよう窓などがあれば理想的。

めあたり【芽あたり】

通常の芽でなく、まだ芽とも言えない大きさの芽が出てきた状態またはその場所を指す。盆栽の枝作りにおいて間伸びは嫌うべきもので、普通は芽のある場所まで辿ってそこで切り戻すが、芽あたりの場所で切り戻しても同じ効果が出る。

めおこし【芽起こし】

松柏類、特に五葉松の針金整姿などの際、枝先の芽を上方向に起こした形に整えること。見た目にもきれいだが、通風・日照条件など培養面の条件向上が第一目的。芽元の部分に日光と風を当てることで新芽の吹き方が格段によくなる。黒松・赤松には通常行なわない。

めおさえ【芽押さえ】

新芽を針金で伏せ込む作業。春先に出た新芽は勢いがあり、ほとんどの樹種で斜上する。これを放置すると盆栽樹形はできない。このため、ある程度充実した新芽は針金で下方向に伏せ込む必要がある。特に若い樹は新芽の勢いが強いので、重要な作業になる。

めきり【芽切り】

黒松を作る上で最も大切な作業で、芽力の平均化・枝数を増やす・葉の長さを揃える……この三つの大きな目的を達成するため行なわれる。別名「短葉法」とも呼ばれる。「芽切り」は、春に出た芽を6月頃に一度切り取り、それから出た二番芽を育てる技術である。様々なケース・目的があり、時期の微調整をはじめ、二度・三度に分けるケースや部分芽切りを行なう場合などいろいろな応用がある。基本的には強い部分は強く抑制し、弱い部分を助けてやるという精神。その後吹いた二番芽の中から使える芽を選び、不要な芽を間引いてやる作業が「芽かき」である。(=【短葉法】)

めつぎ【芽接ぎ】

接ぎ木の一種で、樹木の芽の部分を枝や幹に接ぎ込むこと。台木に切り込みを入れ、接合部をくさび型に切った接ぎ穂を差し込み、固定する。フトコロなど樹形上必要な部分に枝を作るケースや、葉性などを変えるためのいわゆる「衣替え」として行なわれるケースがある。

めつみ【芽摘み】

春先から伸び出す新芽を摘むこと。早期に生長点を取り去ることで第一節間を短くすることや、樹勢の格差を平均化する目的がある。ある程度伸びた段階でハサミを使って切る方法と、芽がほころぶ直前に強い芽をピンセットで開いてつみ取る方法がある。

もちくずす【持ち崩す】

樹が盆栽としてのピークを迎えた後、形が崩れてしまうことを指す。樹勢が落ちること(俗に言う「ガレる」)とは微妙に違う。更新すべき箇所は更新してやらないと樹形の維持は難しい。

もちこみ【持ち込み】

盆栽として鉢に入れられ培養されてきた年月、または経過のこと。「持ち込みが古い」などと使われる。鉢という特殊な条件に順応し、枝打ちや葉も徐々に細かくなり(より大木感が出る)、幹や枝の皮肌にも時代が乗って、まぎれもない「古さ」を見せ始める。

もとぼそ【基細】

枝や幹の付け根が細い、もしくは細く見えること。特に幹の立ち上がりが細く見えると観る側に非常に不安定な感じを与え、好ましくない。

もようぎ【模様木】

盆栽樹形の一つで、直幹樹形が真っ直ぐな幹を持つのに対し、幹に模様が入ったものを指す。樹種を問わず最も多く見られるポピュラーな樹形。幹模様の外側に枝を配置していけば、美観上も映え、また樹形維持もしやすい。