11月〜12月の管理レシピ

冬季保護の要点

冬期の保護管理で1番ありがちな失敗は水切れです。しかも春になるまでに水切れさせたことに気付かない場合が多いので要注意。 ムロ の中に取り込んでいる樹は、手前側ばかりに水がかかり、奥側の枝だけがあがってしまうことがあります。前からも後ろからも、まんべんなく水をかけるように心がけましょう。また、 ムロ 内であってもやはり鉢ごとに乾きの差が生じます。水やりは5日に一度でも、毎朝乾き具合をチェックする習慣だけは忘れずに続けましょう。
棚下や棚上など、屋外で管理する樹にとっての大敵は、鉢の中の凍結と乾いた風、それに強い風によって起こる急激な温度低下です。ですから北風を遮っておけばかなりの事故を防ぐことができます。特に蝦夷松や杜松など、寒さに強いけれども乾燥に弱いという樹種は、風対策が欠かせません。さらに、冬とはいえ晴れた日には予想以上に土が乾燥します。鉢土の乾き具合を確かめた上で、しっかりと水をやることが大切です。
冬期保護に特別な秘訣はありません。要はしっかりと休眠させ、春になったら気分良く目覚めさせてやること。自然の摂理に沿った管理に心を配ることが基本です。

冬期消毒

休眠期に入ると高濃度の 石灰硫黄合剤 をかけても薬害が出ないため、 ムロ 入れ前に冬期消毒を行うのが常識化しています。 石灰硫黄合剤 は浸透性があり被膜をつくるので、樹皮の間に産み付けられた害虫の卵やカイガラムシなどの駆除に効果があります。だいたい10倍から50倍くらいの溶液を散布するようです。鉢土の中に薬剤が入ってしまわないよう気を付け、枝葉の裏側にまでまんべんなく散布します。
しかし、薬剤散布以前に、まず幹や枝を洗浄しましょう。これだけでも病害虫駆除にかなりの効果があるはずです。中には洗浄だけで石灰硫黄合剤の散布はしないという業者さんまでいるくらいです。同時に棚を洗って、棚場を囲む庭木に殺虫剤をかけておけばより安心です。
石灰硫黄合剤 をかけたら、1週間から10日くらい外においた後 ムロ へ取り込みます。気温が高い時に散布すると薬害を生じるおそれがあるので、寒くなってからの散布になります。結局、いったん霜が降りてから消毒を行い、さらにしばらく寒さに当てて、樹が十分冬を確認したところでムロ入れという運びになります。

樹種別作業・管理ポイント

真 柏  ジン・シャリの彫刻

作業が一段落ついた冬の間に、 ジン・シャリ をきれいに削りなおしておくと良いでしょう。
挿し木 素材などの丸幹に シャリ を刻む場合は、不要な枝やすでにある枝 ジン などを起点として彫刻を始めるほうが安全です。水吸いを完全に断ってしまわないように、しっかりと計画を練ってから作業にあたります。
はじめての人は、最初に切り目を入れておき、春になってからも枝枯れなどの支障が出ないことを確認してから、おもむろに樹皮をはがし始めるといった手順を取ったほうが安全でしょう。

黒 松  整姿・剪定

春までの期間なら、軽い剪定から大きな改作まで、基本的にはどんな作業でも可能です。ただし作業後は ムロ などへ保護することが前提になります。 ムロ などの設備がない、あるいは冬期保護に不安があるという人は、3月ぐらいまで我慢して、保護期間が短くなってから作業します。
何事につけ春の彼岸頃が作業適期といわれるのは、後管理が楽だからという理由のためなのです。管理面にさえ自信があれば、冬はいろいろな作業ができます。なお、水上げがかなり低下しているため、枝が折れやすい点だけは十分留意しておきましょう。

ピラカンサ  葉刈り

常緑樹ですから冬でも葉がついています。この葉をすべて付け根近くから切り落して ムロ 入れすると、翌春の芽吹きが良くなります。フトコロ芽を増やしたいときなどに有効な手段です。

11月~12月のワンポイントアドバイス
黒松 基本的には屋外で管理。石灰硫黄合剤で冬季消毒。遅れた葉すかしは翌春に回す
五葉松 基本的には屋外で管理。晩秋に針金をかけたものは要保護。雪害に注意する
真 柏 寒さに強く、屋外で管理できる。展示会出品予定のものは霜にあてないよう軒下に取り込む
蝦夷松 寒さに強いが乾燥した風に弱い面があるので、北風を防いで管理する
赤 松 基本的に屋外で管理。枝がさくいので、雪などによる枝折れに注意する
杜 松 屋外で管理する。水切れに要注意。霜焼けは気にしなくても良い
屋外で管理する。水切れ注意。石灰硫黄合剤で消毒する
山もみじ 落葉後が剪定適期。ムロ入れ前に幹を洗う
関東以北や小枝のできたものは冬期保護が必要。しっかり休眠させる
けやき 落葉直後に小枝を整理し、冬期消毒をして軒下に入れる
ぶ な 幹洗いと冬期消毒。ゆずり葉は無理に落とす必要はない
いぼた 石灰硫黄合剤で消毒してムロに取り込む
梅もどき 多すぎる実は適当に間引き、軒下などに取り込んで霜を除ける
かりん 比較的寒さには強いが、凍結は防ぐこと。冬期消毒は必ず行う
ピラカンサ 小枝を増やしたいなら葉をすべて刈り取ってムロに取り込む
姫りんご 軒下などに取り込んで凍結を防ぐ。冬期消毒励行
つる梅
もどき
しっかり寒さに遭わせた後にムロへ取り込む
老爺柿 比較的寒さには強いが、凍結は避ける。種子採取の適期
まゆみ 冬期はムロ内か軒下で保護。幹洗い励行
くちなし 暖地性で寒さに弱いので、他樹種より少し早めにムロへ取り込む
きんず 暖地性で寒さに弱いので、他樹種より少し早めにムロへ取り込む
美 男
かずら
寒さには弱くはないが、ムロへ取り込んでおいたほうが安心
さつき 霜、凍結を避ける。秋に針金をかけた樹はムロで保護する