2.沈壽官窯の発展と盆栽鉢
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沈壽官窯の発展と盆栽鉢

 

苗代川の沈家は、民窯ながら代々薩摩藩の焼物技術者として家系を重ねます。一子相伝の系譜の中、歴代で特に名高いのは十二代沈壽官。安政4年(1857)、苗代川に藩の支援を受けた大規模製陶工場(苗代川陶器会社)が設けられた際には監督に任じられ、金襴手の洋食器などを生産、薩摩焼の欧州輸出と外貨獲得に貢献します。ウィーン万博に出品した約180㎝の大花瓶一対は大きな注目を浴び、「サツマ」は日本陶器の代名詞となっていきます。洋食器生産・輸出の失敗の影響で苗代川陶器会社が衰亡した後には玉光山陶工場を興して雇用を守り、後継者育成にも尽力しました。

盆栽界に見られる沈壽官窯盆器で最も有名なのは、この十二代の作品です。小品盆栽鉢、蘭鉢、万年青鉢などが見られます。絢爛豪華な色絵金襴手作品で薩摩焼輸出の最盛期を支えた陶工ですが、薩摩の土と釉料を用い、白釉(いわゆる白薩摩)や白釉に細工の利いた透彫細工を施した作など、多彩な作風で知られます。「白薩摩の美は堅く焼き上がった素地が細かな貫入に覆われていること」、「金彩は純質の金泥が厚く盛られ、素地をほどよく見せて絵が描かれていること」という十二代の言葉が残されています。

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