
盆栽に使う用土の種類のひとつ。ひと粒の中に多数の孔があるため水もちが良く、しかも空気の流通が良いところから、ほとんどの盆栽で多用されている。他の用土と混合される場合にも主用土として用いられることが多い。ただし長く植え替えないでいると粒子がつぶれて保水機能が弱るので、つぶれにくい焼き赤玉土や硬質赤玉土も流通している。
盆樹の頭部、樹冠部のこと。芽ひとつを指すのではなく頭部全体を指して使うことが多い。頭をうまくまとめることができるかどうかでその人の技量をはかることができるほど、盆栽にとって重要な部分。一般に、頭が丸いほど古木感が表現できる。
盆栽のつくり方または樹形のひとつで「筏作り」ともいう。幹が倒れそこから出た枝が幹となった多幹樹形のひとつ。元来山の中でよく見られる姿だったせいか、樹形としては根連なりより古くからあった。
樹形の一つで、石に付けて植えられたもの。石の持つ景色と質感が樹木の野趣や自然味を高めるため、創作盆栽の一ジャンルとして人気が高い。作成時には、後々の樹の生長を見越した植え付けに留意したい。大きく分けて、鉢上で石に沿わせて植えたもの、石に直接ケト土などで付けたものの2タイプがある。
根元から数えて最初にある枝を指す。一般的に盆栽の輪郭は「不等辺三角形」に整えられることが多く、この一の枝の出位置や幹の太さとの関係は、樹形全体に大きく影響を及ぼす。樹を左右に分けて「右一の枝」「左一の枝」と使うこともある。
本来は、種をまいたその年のうちに開花結実する品種のことだが、園芸・盆栽界ではやや拡大解釈して、実生・接ぎ木・挿し木後1〜2年で開花結実するものを指す。例えば「一歳○○」と表示されたものならば、普通種より早く花が咲き、実がつく。
前後左右を問わず、樹を植え付ける角度。同じ幹模様でも角度を少し変更することによってかなりのイメージチェンジが可能である。植え付け角度を変えた場合は、樹芯や枝角度などにも若干の修正が必要となる。
盆栽を鉢に植える際に用いる土。一般には用土という。基本的にゴロ土や化粧砂とは分けて考える。保水性に富み、排水性・空気の流通が良く、粒子が崩れにくいものが最適とされる。さまざまな土や砂の種類とその配合が研究されており、さらに最近はふるえばそのまま使える配合土も売られている。
ひとつの枝から出た小枝や葉をそのままひとかたまりにせず、小さなブロックに分けた集合体。こうすることを【棚割り】という。奥行きや立体感を表現でき、大木感の表現につながる他、フトコロ部への日照・通風条件も良くなる。
上向きの芽・枝を水平もしくは下向きに伏せること。樹木の芽は放っておくと陽光を求めて上に伸びるのが自然の摂理だが、針金かけや枝引きによって伏せてやることで、次の利点が得られる。
●フトコロ部の日照・通風が良くなる
●枝先の力を抑制できる
●時代感を表現できる
フトコロに近い芽のすぐ先まで切り戻す剪定の方法、またはそれにより次の芽を動かし、その芽を使って枝をつくっていくこと。盆栽の枝づくりでは小枝の先は細く維持したいが、何年も経つと徐々に太ってくる。そうなった際の枝先の更新にはこの追い込み剪定が欠かせない。逆に言うと、いつでも追い込めるようにフトコロの芽を保つことが、姿を維持する最大のコツである。(=【切り戻し】)
用土の種類のひとつ。空気や吸収した水分などを表面の毛管孔隙に含むので、普通の畑土の2〜3倍の保水性を持ち、排水性も優れている。土壌内が酸性になるので松柏や多くの雑木類には向かないが、さつき盆栽やツツジ類には主要用土として重用されている。
取り木の方法のひとつで、樹皮を形成層の部分まで完全に剥ぎ、その部分から発根させること。普通は取りたい部分の幹径の1.5倍の幅を目安に、形成層を完全に剥いで水ゴケなどで覆っておく。順調なら数ヵ月後には発根するので、根の下で切り取って独立させる。
本来の樹形からすれば不要だが、枝元の太りがほしい場合に故意に伸ばしておく枝。長く伸ばして周辺の部位の太りを得た後に切除する。あまり長くつけていると切除後の傷跡が大きくなるが、うまく活用すれば樹づくりの大きな味方になる。
盆栽樹形のひとつで、樹の先端部分が鉢縁よりも下にあるものを総じてこう呼ぶ。自然環境の中で断崖絶壁にしがみつくように生きる樹々を模したもので、生命力のたくましさや自然の厳しさなどさまざまなものを表現できる。
根元から樹冠に向けて幹が細くなるバランス。「しぼり」ともいう。盆栽の大木感を表す美的要素として非常に重要で、根元から上に行くにしたがって自然に無理なく細くなるのが理想とされる。根元だけ極端に太い樹はバランスが悪いので、コケ順が良いとは言えない。
盆栽用土の赤玉土や各種の砂類は、使用上の目的によりいくつかのサイズ別に分けられるが、その中でも一番大きい粒のこと。鉢底にうすく敷きつめ、その上から植え土(用土)を入れる。余り水の流出がスムーズになり、水が切れた後は鉢穴を通して空気の流入を容易にするなど、重要な役割を持っている。
繁殖法の一種。植物体の一部(枝・葉・根)を土などに挿して発根させ、独立した新しい個体を作ること。比較的簡単な繁殖法であり、太りも早く得られる。実生法と違って親木(親枝)の性質を受け継ぐという特徴があるため、品種的に貴重なものや実生法では個体変化が激しくて性質が異なってしまうものの繁殖に向く。挿すもの(枝や葉)を挿し穂と呼び、土の方を挿し床と呼ぶ。
古さ、または古く見える見せ方。盆栽の基本的要素であり、「時代が良い」「時代が乗っている」などと表現され、評価の対象となる。樹の古さは特に幹肌に表れ、古いものは自然古木と似た雰囲気を醸し出す。その他にも、よく使い込まれてきた古い鉢など、古さ・落ち着きを感じさせるものに対して広く使われる言葉である。
枝などが間伸びしないように、樹形をかちっと引き締めて作ること。そのためにはフトコロ芽を大切にして枝岐れをつくる必要がある。見事に締め込まれた木は、小さくても大樹の相を表すことができる。
幹や枝の木質部が朽ち果て、白骨化したものを指す。松柏類に多く、特に真柏や杜松では見どころのひとつとされる。このジン・シャリの芸で評価が大きく変わることもしばしばである。
一般には、枝の枯れたものをジン、幹の枯れたものをシャリと呼ぶ。
どちらも樹木の最上部を示す言葉。一番上の枝棚全体を「樹冠」と呼ぶのに対し、樹の先端部分で幹の頂点を「樹芯」と呼ぶ。ともに樹形に大きな影響を及ぼし、特に樹の輪郭や流れを決める場合に重要な要素となる。
その樹種の持つ性質のこと。生長のスピード、花・実・葉の性質、好む土質条件、病害虫抵抗性、適した繁殖方法など、様々な要素がある。管理方法や作業時期などにも関係があるので、樹性をしっかりつかんでおくことが必要である。
樹の個体差を表す言葉。「性が良い」「葉性(はしょう)」「皮性(かわしょう)」などと使われる。またその特徴が固定化したものに対して、品種名のように用いられることもある。例:もみじ荒皮性、蝦夷松八ッ房性など(荒皮性…短期間で肌が荒れてくるもの、八ッ房性…芽や葉の矮小化したもの、盆栽に適している)。
昔から使われている農薬の一つで、殺菌・殺ダニの効果がある。必要に応じた倍率に水で薄め、筆などで塗布、または噴霧器で散布する。冬は樹木の休眠期なので一般的に20倍、それ以外は1000倍程度に薄めるのが適当と言われる。ジンやシャリの化粧もこれで行なう。
本来は、樹木の性(性質)のうちの一つで、自然状態で石化しやすい性質のものを指す。石化とは、文字通り石のように固くなり板状やハケ状になること。しかし盆栽界では八ッ房性と同じ意味で使うことが多い。
節と節との間。葉や枝の出ている箇所を節という。節間が間伸びした樹は、小さく作るべき盆栽では評価が低い。犠牲枝(太りを得るためわざと剪定しない)など特殊なケースを除くと、基本的にはできるだけ節間を短く作っていく。
盆栽の枝や葉、幹を切り整えること。大変に重要な作業で、主に次のような目的を持つ。
●樹形の基礎(枝骨)を作る
●完成木の維持
●徒長を抑制し、樹勢の均一をはかる
●枝葉の密生を避け、発芽を促す
●樹冠内や枝のフトコロへの日照不足を防ぎ、通風を良くして病害虫の発生を防ぐ
●大きい樹を小さく作り変える
これらの意味で剪定を毎年繰り返すことによって、締まった(小さく作り込まれた)盆栽が出来上がる。(=【枝抜き】)
盆栽樹形の一つで、一株の根元より二本の幹が出ているもの。幹の高くて太い方を主幹、細く低い方を副幹と呼ぶ。この二本の幹の高低・太細の調和が大切。幹の岐れめが少し上に位置するものは、途中双幹と呼ばれる。
幹の真下の部分にある根のこと。ある程度できている樹の場合、太りすぎや間伸びに対する抑制になるし、薄めの鉢に入れることも考えて、植え替えの際に(樹勢低下などの問題がなければ)深く切り詰めることが多い。
鉢の縁よりも全体的に盛り上げて樹を植え付けること。培養上の利点として、(大気にさらされることにより)根張りに古さが出る点が挙げられるが、水切れ・乾燥などの問題もあって、管理はやや難しいと言える。植え替えの際に根捌きが足らなくて高植えになってしまうことがあるが、これは避けたい。
盆栽を下から見ていって幹の始まる部分。広義では、根張りを含めた最下部を指すこともある。大変重要なポイントで、この部分に十分な太みがあれば、ドッシリとした重厚な落ち着きが備わり、大木感の表現につながる。幹のコケ順の基準にもなる。
枝や幹の長さ・形に問題があって、先端部分を作り直したい時、新しい樹芯や枝芯を途中の枝に設定して切り換えることをいう。具体的には、新芽や小枝を新樹芯や新枝芯に決め、そのすぐ先の部分で切除する。特に胴吹き(幹肌に新芽が吹くこと)が可能な樹種であれば、立て替えだけで作っていくこともあり、これによって間伸びのない締まった樹を作ることができる。
ここでいう『棚』とは樹の枝棚のこと。枝が幾層にも重なってできた枝棚をきれいに整理・ブロック化し何段かに分けることを指し、「棚割りがきれいにできている」などと用いられる。階調をつけることで樹形全体にメリハリをつけ、弾みを生み出す。また美観以外にも樹の内部への日当たり・風通しを良くする目的がある。
肥料を練って玉状に固めた緩効性有機肥料で、肥料当たりが少なく、盆栽の培養に最も多く用いられる。原料には油粕や骨粉が主に用いられている。水やりの度に成分が少しずつ溶け出して鉢土内に入り効果を発揮する。形の崩れやすいものは、降雨時などに流れ出て、結果的に肥料のやりすぎとなるので注意。現在は良質のものも多く市販されているので、よく調べてから購入したい。
文字通り短い枝のこと。枝には、よく伸びた枝(徒長枝)・その年伸びた枝の基部付近から出る生長の少ない枝(短枝)・その中間の枝(中枝)があり、短枝は組織が充実していて、花芽や実が結実しやすいという性質がある。特に実もの樹種の一部ではこの短枝にのみ花芽を持つものが多いので、枝づくり過程で短枝を多く残すことを目指したい。
樹形の一つ。字義通り、幹が真っ直ぐ天に向かって伸びている形。整然とした美しさは大きな魅力である。八方根張りやコケ順・枝順など、盆栽の基本要素がすべて求められ、ごまかしのきかない樹形と言われる。下枝が弱らないよう、また、太い枝の元部を膨らませないことが樹づくりのポイント。
特に実生素材の場合、種子から初めて真下に伸びた根のことを指す。この根が下に伸びる力で幹は高くかつ太くなるが、盆栽として鉢内で育てる際は不要になるので、一般的には早い段階で切除する。伸ばしていると横根(ひいてはこれが根張りになる)に力が行き渡らず、枝づくり・樹形づくりが難しくなる。
一般的には繁殖法の一つということになるが、盆栽づくりの上では大変重要なテクニックで、繁殖や枝作り、さらには根張り作りにまで応用できる。一口に『接ぎ木』といっても、様々な目的や方法があるので、ここに挙げる。
●枝接ぎ・芽接ぎ
フトコロ部に枝が欲しいが、追い込める芽がない場合など、枝や芽を接ぎ穂にして芽を得る
●根接ぎ
良い根張りを得るために、根張りの足らない部分に接ぐ
●呼び接ぎ
接ぎ穂にする部分を母木から切り取らず行なう接ぎ木。活着の難しい樹種(もみじなど)に用いられる
●通し接ぎ
幹に穴を開け、接ぎ穂を通して活着を待つ方法。樹種(もみじや楓など)や時期(5月下旬~6月上旬)を選ぶため、あまり一般的ではない
その他、葉性や品種を変えたいときや繁殖法としてなど、接ぎ木の応用範囲は広い。接ぎ木で繁殖された素材は、花や実の着くのが早くなる。
接ぎ木を行なう際、接がれる方の木を台木、接ぐ方の木を接ぎ穂と呼ぶ。樹勢旺盛な部分から採るのが鉄則。新しい枝や根張りになるわけだから、とにかく傷がなく、しっかりした芽を持つものを選ぶこと。
幹や枝の途中に芽が吹くこと。特に枝元(盆栽のフトコロ)近くから新しく芽が出ることをいう。枝を追い込む剪定によって促す。胴吹きが得られれば、間伸びした部分に新しい小枝を作り、枝順やボリュームのバランスを作り直すことができる。樹種によって胴吹きしやすいもの・しにくいものがある。また、追い込みの剪定には樹勢の良いことが必要不可欠。
伸びたままの、勢いの強い枝のこと。徒長枝をそのままにしておくと、樹の養分がそこへ流れすぎるため他の枝の生長が遅くなる。養成中の樹や、枝・幹に太みを得たい場合は犠牲枝としてこれを放置することもある。いずれにしても組織の成熟を伴わないまま太っていくので、花芽などは結実しにくい。
樹や枝の先端部にある生長点を除去すること。簡単に言えば枝を切ることを指すが、単に輪郭線を整えるためではなく、枝の立て替えや、実もの盆栽などで結実を確実なものにするために枝を短い状態にしておく、というニュアンスが強い。
幹を削って養分の通り道を遮断することで強制的に木質部に発根させ、その根の下部で切断、上の部分を植え込んで使う繁殖方法。盆栽の素材を得るために大変重要なテクニックで、改作にも活用でき、特に小品盆栽では取り木で作られた名品も多く見られる。樹種により適期は違うが、均等な根張りが得られるところと、模様・幹肌の良い部分だけを選択できるというのが最大の魅力である。
左流れ、右流れなどと使う。盆栽の幹や枝には必ず方向があり、それを人間の手で操作していかに意味付けをしていくかが樹づくりのポイント。流れがちぐはぐだと、作品にまとまりがなく、味は出ないし風景も呼び起こせない。例えば枝操作の途中で少し樹から離れ、全体を見渡してみることも一つの手。飾りにも同じことが言える。
枝や幹を切除した跡が、時間が経つにつれ癒着して新しい表皮ができ、治っていくこと。肉巻きしやすい樹種・しにくい樹種がある。松柏類はヤニの多いもの、雑木なら楓やもみじが肉巻きがしやすい。また、ぶななど肉巻きはしやすいが巻いた跡が黒ずむ樹種もある。
芽切りや葉刈りによって、二回目に吹いた芽を指す。ほとんどの樹木は通常一年に一回しか芽を吹かないが、作業適期に芽切りや葉刈りを行なえば二番芽を吹く。軸などの伸びは一番芽より短く、葉も小さく揃ってくる。
植え替えの際、土を水でほとんど取り去る方法。土の崩し取りと水洗いを併用して行なう。この方法を特別に必要とする樹種が幾つかあり、特にさつきは根土が残っていると吸水・保水その他多くの点で調和を欠き、培養に悪影響を及ぼすことがある。なお、一度完全に根洗いしたものは再度行なう必要は基本的にない。
長く持ち込んで根がびっしり固まった状態のものを、鉢から抜いて観賞することを根洗い盆栽と呼ぶ。水盤などを使って展示されるが、一般の盆栽ではほとんど見られず、草ものの一部にこの方法がとられる程度。
根が腐り、機能を完全に失うこと。悪臭を伴う。水抜けの悪さや肥料あたりも考えられるが、ほとんどのケースは水切れによる小根の枯れ込みが第一の原因。早期発見の上、枯根の処理と患部の除去が望まれるが、いずれにしても樹にかかるダメージは大きく、樹勢にも影響が出る。施肥は控え、水やりも土が乾いてからにするなど、ゆっくりと回復させる。
接ぎ木技法の一種。根張りの弱い部分(または無い部分)に接ぎ穂を接ぎ、活着を待つ。良い根張り作りが目的で、特に雑木などで理想とされる八方根張りは、根だけでなく丸幹を作るためにも都合が良い。接ぎ穂は実生若年生の苗木を使う。
土の表面より外に出て見える樹木の根元の上根の状態。盆栽観賞の基本となる大変重要な部分で、大きな見どころのひとつ。どっしりと大地を踏みしめるような根張りは、強い安定感を感じさせ、大木感を醸し出す。
挿し木法の一つで、挿し穂に根を用いるもの。植え替えなどの際に出る不要根の、模様の良い部分を5〜6cm切って、少しだけ頭を出して土中に埋める。おもしろい模様ができるので、特に小品盆栽の素材作りには最適。
前年の秋以前にできていた芽が春になっても展葉しないもの。特に松柏類に多い。中にはそのままの状態で一年越し、翌年に展葉するものもある。日照・通風などの条件が悪い部分や、古木で部分的に活力の落ちた枝などに多くできる。死んでいるわけではないので、追い込みや芽切りなど、何らかの刺激を与えてやると動き出す。
春に出た新芽を摘み取るのが芽摘みだが、その後に固まってきた葉を、葉柄を残して刈り取る技法。雑木盆栽、特に葉もの作りにおいて非常に重要な作業で、芽吹きの良い樹種なら、年間3〜4回可能。効率の良い小枝作りと樹勢の平均化の二つの目的がある。
ハサミだけ、つまり剪定だけによって小枝を作る方法。樹木の芽は上に伸びるため、枝などの骨格をつくる段階では針金で伏せ込む作業(芽押さえ)が必要となるが、枝骨ができあがり枝先づくりに入ると、やや暴れ気味に作られた小枝の方が自然味が出る。このため、針金による芽押さえを行なわず、方向の良い芽を残す剪定だけで小枝を作る方法がとられる。
全体の輪郭に対し、極端に勢いが強く、大きく伸びた枝のこと。放置しておくとますます樹勢が偏り、枝元がゴツくなったり細い枝が枯れてしまったりするので、必要のないものは早めに切除するか、可能なものはコケ順の良い位置で立て替えを行なう。
土中において、他の根に比べ極端に長く伸びた根のこと。樹を鉢から抜いた時、鉢の形と同じように回っている小根の中に、一本の長く太い根が見られることがある。これが走り根である。根も枝と同じく勢いが平均化した状態が望ましい。植え替えの際に細い根に立て替えるか、取り去っておきたい。
盆栽において、葉の形態や色彩、生理的な働きは大きな影響をもたらすものである。このような葉の持つ性質を葉性と呼ぶ。同じ樹種でも葉性の違いによって評価が違うこともしばしばである。一般に盆栽界で良いとされる葉性の条件をあげる。
●針葉樹
葉が短い・真っすぐ・色彩が鮮明・太めのもの
●雑木
葉が小さい・光沢がある・色彩が鮮明・紅葉や黄葉が美しいなど
ちなみに盆栽界で「葉性」と言う時、厳密には「芽性」のことも含んで語られることが多い。芽性とは、芽の出方(粗いか密か、また節間が短いか長いか)や性質(二番芽が出やすいか否か、眠り芽ができやすいか、大木にならず低木に仕立てやすいか、など)のことである。「葉性が良く作りやすい」と言う時は芽性のことを指している。
盆栽の枝表現におけるリズムのようなもの。一般に盆栽の姿とは、幹筋の大きな流れに対して枝の場所や長短で変化がつき、躍動感が出てくるものである。さまざまな枝表現があるので、このハズミという概念を理解するには名樹を数多く見ることが必要である。
繁殖された後畑に入れられ太らされた素材。短期間で太くなるので、太さの割には比較的安価で入手できる。ただしずっと鉢で持ち込まれたものに比べると、時代感でやや劣る。鉢に入れる際、畑土を完全に落とすことが大切。
言葉の意味は葉のある部分の大きさということであるが、転じて樹全体のかさ・左右のサイズを指し示す場合が多い。「葉張りを縮める」などと使われる。幹の太さや枝打ち、鉢の大きさなどから総合的に見て、理想的な葉張りサイズは決まってくる。
樹木の芽には、花になり後に実になるものと、葉になり後に枝になるものの両方があり、このうち花になるものを花芽と呼ぶ。実もの・花もの盆栽においては、花芽の付き方に関する樹種ごとの特性をよく知ることが大切で、徒長枝の先につくもの、比較的短くて太い枝(短枝)につくものなど様々である。従って枝の切り具合や芽の残し方に違いが出てくる。
黒松や赤松の葉を抜いて整理をすること。樹勢調節と、日照・通風促進の二つの目的がある。芽切りの補足として休眠期に行なう。弱い芽以外は古葉を全部取り、特に強い部分は新葉も取る。ミドリ摘み・芽切り・芽かきと併せて、枝作りと樹勢調節の方法として大切な作業である。ちなみに五葉松の古葉切りを同じ名前で呼ぶこともあるので、混同しないよう注意。
根連なりや寄せ植えなどの多幹樹形で、そのうちの一本(または二本)が左か右にポツンと離れてあること、またはあるものを指す。必ずあるものではない。小さいものをハネ出しに持ってくるのが一般的で、全体の躍動感を左右する重要な部位と言える。ここから転じて、棚飾り(特に小品盆栽)などで左または右に離れて配置する一群のことも指す。こちらも全体の流れを受け止める大きな役割を持つ。
根水の反対語で、葉に水をかけること。葉の表面温度や湿度を調節することが狙い。特に植え替え直後の根量が大幅に減った状態の時や、夏の暑い時などは、一定期間これを与えてやることによって葉からの蒸散量を抑えることができる。
盛夏や初秋、葉先または枝先が枯れて褐変または黄変すること。これの起こってしまった葉は元には戻らない。大方の場合水切れが主原因。予防策としては充分な水やりを前提に、夏場の異常な蒸散を抑えるため、寒冷沙を用いた直射日光からの保護などが挙げられる。
盆栽作業の中で最重要とされるものの一つで、幹や枝に針金を巻き付けて模様を入れ、姿を整えることをいう。 盆栽用としては主に茶褐色に色付けされた銅線とアルミ線が用いられ、主に休眠期に作業し、枝に針金が食い込むくらいになってきたら針金を外す。現代盆栽テクニックを代表するものなので、ここにその効用をまとめてみる。
●ハサミ作りに対して圧倒的な早さである程度の姿を作ることが可能。特に間伸びした部分に模様を入れられる効果は非常に大きい
●針金かけによって扇状に広げられた枝は日照・通風条件が良くなり、それによってフトコロ芽に力が乗る。また、針金の刺激によって植物内にエチレン(植物ホルモンの一種)が分泌され、芽吹き・伸長の具合が良くなる
針金かけの最終目的は効かせることにある。針金を外した時効いていなければ、再びかけ直してやる。
ヤゴ芽、シュートともいう。叢性の(低木性で株立ち状で自生している)樹種で、樹の足元から不定芽が生えてくること、またはその芽。放置しておくと元の樹が弱るので普通は見付け次第切り取るが、場合によってはこれを活かして株立ちや根連なりを作ることもある。その際にも適当量に間引くことは必要である。(=【ヤゴ芽】)
人為的に樹に養分を補給してやること。太らせるため、また元気をつけるためなど様々な目的がある。天然土壌中には豊富な栄養分があり、自然木はこれを吸収して生育するが、鉢栽培の場合は用土中に栄養分はほぼ含まれておらず(含まれていても樹が吸収できる化学形態であるとは限らない)、樹が吸収しやすい形態の人工肥料を与える。現在では有機/無機、速効性/緩効性など様々な肥料が開発され、その形状も固体(灌水によって溶け、鉢土内に流れ込むもの)、液体(ほとんどは原液なので水で薄めて散布する)、土壌中の栄養分を樹が吸収しやすいように化学変化させる土壌活性剤など、バラエティに富む。
植物の芽というのはある程度吹く場所が決まっていて、そのほとんどが葉脇の近辺であるが、それ以外の部分から出る芽を不定芽と呼んで普通の芽と区別する。と言ってもそれほど珍しいことでなく、樹種によっては幹や枝の途中から頻繁に吹く。
枝葉に隠れた盆栽の内側の総称。特に幹に近い枝元部分を指すことが多い。盆栽の理想的な形としてはここにたくさん枝岐れがほしいのだが、日照・通風条件を考えながら培養しないと、せっかくあった枝や芽も枯れてしまう。フトコロの枝のない部分に吹いた不定芽は大切に育て、しっかり力を乗せたい。
五葉松で、夏から秋にかけ古葉を取り除いてやる作業。常緑樹の葉は場合によっては1年ないし1年半ほどついており、こういった「昨年葉」や「一昨年葉」を総称して古葉と呼ぶ。日照・通風条件を良くするための方法のひとつである。近年では特に夏場(7月下旬〜8月上旬)の五葉松の古葉切り(ハサミで切る)が効果があるとされている。
元来は文人好みの木という意味で、広義では現在の盆栽すべてを指すような大きな定義になってしまうが、一般には細幹で時代乗りが良く枝数の少ない、わび・さびの情趣のある瀟洒な作りの樹を指す。よくできた文人木は盆栽の神髄を極めたような風趣があって人気も高いが、細幹のまま長い年月持ち込む必要があり、数も少ないのが現状。樹種的には赤松や五葉松が代表的である。
盆栽を観賞する目的で植える鉢。対して日常の培養目的で使う鉢を培養鉢、仮鉢などと呼ぶ。一般に本鉢には高温度焼成の焼締鉢や釉薬鉢が用いられるため、鉢土内への酸素混入率が悪く、培養していく上では条件が良くない。このため通常は培養条件の良い粗めの胎土を使った培養鉢に植え込んで管理する。逆に古木の場合、樹形を暴れさせないため本鉢のまま培養することもある(鉢そのものの時代感も高める)。
幹の表面、皮のこと。盆栽の大きな要素として、古さ、時代感が挙げられるが、これを如実に表すものが幹肌である。荒れた幹肌は古色を演出し、気品を生み出す。小さい鉢で、いわゆる「締めて」作られたものは幹肌への時代の乗りも早く、見どころに富む。
幹が描く曲線のこと。直幹樹形以外のほとんどの場合、大なり小なり模様があり、これが樹形の基礎となる。下部は大きく、上に行くに従って小さくなるのが理想的とされる。ただ、現在名木と言われるものにはその限りでないものも多く、基本から外れたところに野趣が感じられたりする。(=【振り】)
繁殖法のひとつで、種を蒔いて素材を作ること。手間のかからない繁殖法で、ゼロから盆栽としてしつけることができ、また根張りがよくできるという利点もあるが、一方では実生変化のため性質が安定しないという傾向もある。
鉢土内の水が不足すること。雑木類では、ごく軽い水切れでも葉先が萎れたり葉枯れのような症状を見せるので分かりやすいが、松柏類は判別が難しい。もちろん長期にわたると致命傷になることもある。
水はけのこと。鉢または鉢土内から余分な水が抜ける度合い。毎回の水やりの際、直後の鉢土は水分をたっぷり含んでいる。この水分を適度に保ち、次回の水やりの時までに樹のゆっくりした吸い上げを促すのが理想的な鉢土の状態である。
植物を育てる上で最も重要な要素は水である。ことに盆栽は鉢という限られたスペースで生き続け、剪定や整姿にも耐えて観賞段階へと到達できる。言葉では単に盆栽に水をやることを指すのだが、その難しさは「水やり三年」という言葉があるほどで、また実際には三年では覚えきれないほど奥が深い。気候風土やその年ごとの温度変化、環境の違い、樹種特性、樹勢状態、用土の違い、鉢の大小や深浅とさまざまな要素があり、完全なマニュアルはこの世にはない。基本的な考え方として、樹が水を欲した時に与えるのが理想。また、水やりとは水分を補給するだけでなく、空気をも補給するものであることを忘れてはならない。(=【灌水】)
盆樹の冬場の保護をするための保護設備の総称。ちなみに寒さのピークの前に樹をここに取り込むことをムロ入れと呼び、春先にここから出すことをムロ出しと呼ぶ。プレハブでもビニールハウスでも何でもよく、寒風、積雪、霜、鉢の凍て割れなどから守れる閉め切った密室があればよい。基本的には無加温が望ましく、また日中に換気しやすいよう窓などがあれば理想的。
通常の芽でなく、まだ芽とも言えない大きさの芽が出てきた状態またはその場所を指す。盆栽の枝作りにおいて間伸びは嫌うべきもので、普通は芽のある場所まで辿ってそこで切り戻すが、芽あたりの場所で切り戻しても同じ効果が出る。
松柏類、特に五葉松の針金整姿などの際、枝先の芽を上方向に起こした形に整えること。見た目にもきれいだが、通風・日照条件など培養面の条件向上が第一目的。芽元の部分に日光と風を当てることで新芽の吹き方が格段によくなる。黒松・赤松には通常行なわない。
新芽を針金で伏せ込む作業。春先に出た新芽は勢いがあり、ほとんどの樹種で斜上する。これを放置すると盆栽樹形はできない。このため、ある程度充実した新芽は針金で下方向に伏せ込む必要がある。特に若い樹は新芽の勢いが強いので、重要な作業になる。
黒松を作る上で最も大切な作業で、芽力の平均化・枝数を増やす・葉の長さを揃える……この三つの大きな目的を達成するため行なわれる。別名「短葉法」とも呼ばれる。「芽切り」は、春に出た芽を6月頃に一度切り取り、それから出た二番芽を育てる技術である。様々なケース・目的があり、時期の微調整をはじめ、二度・三度に分けるケースや部分芽切りを行なう場合などいろいろな応用がある。基本的には強い部分は強く抑制し、弱い部分を助けてやるという精神。その後吹いた二番芽の中から使える芽を選び、不要な芽を間引いてやる作業が「芽かき」である。(=【短葉法】)
接ぎ木の一種で、樹木の芽の部分を枝や幹に接ぎ込むこと。台木に切り込みを入れ、接合部をくさび型に切った接ぎ穂を差し込み、固定する。フトコロなど樹形上必要な部分に枝を作るケースや、葉性などを変えるためのいわゆる「衣替え」として行なわれるケースがある。
春先から伸び出す新芽を摘むこと。早期に生長点を取り去ることで第一節間を短くすることや、樹勢の格差を平均化する目的がある。ある程度伸びた段階でハサミを使って切る方法と、芽がほころぶ直前に強い芽をピンセットで開いてつみ取る方法がある。
盆栽として鉢に入れられ培養されてきた年月、または経過のこと。「持ち込みが古い」などと使われる。鉢という特殊な条件に順応し、枝打ちや葉も徐々に細かくなり(より大木感が出る)、幹や枝の皮肌にも時代が乗って、まぎれもない「古さ」を見せ始める。
盆栽樹形の一つで、直幹樹形が真っ直ぐな幹を持つのに対し、幹に模様が入ったものを指す。樹種を問わず最も多く見られるポピュラーな樹形。幹模様の外側に枝を配置していけば、美観上も映え、また樹形維持もしやすい。
樹形上の骨格を決める枝。簡単に言うと役割のある枝のこと。狭義では一の枝・二の枝・後ろ枝などを指すが、広義ではいわゆる差し枝や受け枝、利き枝など樹形上主要な枝すべてが含まれる。特に若い木の培養過程でこうした「役枝」を決めると、ひと枝ごとの役割・目的が明らかになり、樹づくりのビジョンが見えやすい。
切断や何かの障害で太枝が枯れた後、その部分から真下に向かって枯れ込んでいくことを指す。水吸いが切れることによって吸い上げが止まり、その直下の水吸いが枯れ上がる現象。「灼けが入る」とも言う。樹種によって灼けにくいもの・灼けやすいものがある。枝抜き跡のすぐ下に枝が残っていれば水を吸い上げるので、まず灼けることはない。これを「灼け止めの枝」と呼ぶ。
同樹種の普通種に比べ、枝葉が小さく詰まってできる品種を八ッ房性と呼ぶ。小さい寸法で大樹の相を表す盆栽に非常に適した品種である。自然交配による実生変化や突然変異、または枝変わり品種を接ぎ木や挿し木で繁殖させたもの。代表的なものでは五葉松の「瑞祥」「九重」、もみじの「琴姫」「鹿島八ッ房」などがある。
盆栽素材の入手方法の一つで、山に自生している自然木を掘り起こして鉢に入れ活着させること、またはその素材を指していう。近年はほとんど行なわれていない。国有林など公共の場所はもちろん、承諾を得れば法律的には問題のない私有地でも盆栽に適した素材は絶えたと言われて久しいし、何よりも自然保護・エコロジカルな観点から、モラルとして行なわないというのが現在の一般的な考えである。挿し木・実生・取り木などの繁殖法や、畑作り・肥培などの技術も発展しており、新たな素材作出の方法も充実してきている。
枝抜き跡に残る傷口を早く癒すために塗る薬剤。傷口の乾燥を防ぐようペースト状に練られたものが一般的で、枝抜き跡に塗る(貼り付ける)。元来は雨(水)や風が傷口に当たらないよう保護する目的だったが、研究・開発が進み、癒合促進剤が含まれるものも多くなった。
盆栽樹形の一つで、創作盆栽の一ジャンルとして古くから人気のある仕立て方。浅く広い鉢を使い、文字通り複数の幹を寄せるようにして植える。強弱の付け方や間の取り方など、樹の配置次第で大きく表情を変えるため、つくり手の力量が問われる。
五葉松や黒松などの冬芽が長く伸び、ロウソク状になったもの。ミドリともいう。特に五葉松に多く見られ、秋から冬にかけて樹勢の強い部分にでき、上に向かってまっすぐ伸びる。『金平糖芽』と呼ばれ短いままで冬を越す芽もある。春にミドリつみで折り取る。